ハルの笑顔はヒマワリの花

私の大切な息子は知的障害を伴う自閉症でした。5年間という短い人生でしたが、彼はたくさんの宝を遺してくれまいた。

息子ハルの5年間の様子を紹介しています
気になるカテゴリーの画像をクリックしてくださいね

結婚式の主賓挨拶の時に泣いている子どもに掛ける言葉

f:id:harukunmama:20190401071245j:image
自閉症の息子が生きた5年間の軌跡に来ていただきありがとうございます。ハルママです。
当ブログの説明はこちらから→ハルの笑顔はヒマワリの花【ブログ説明】

ハルとのエピソードは5年間という短い期間の中でもたくさんあります。今回は、今思い出すだけでも悔しいお話をしたいと思います。

2011年6月5日

母(私)の従妹の結婚式に出席しました。
初めての場所、触りたいものがあるけど、触れないので、だんだん機嫌が悪くなり、披露宴の時に大泣きし始めました。
新郎側の主賓の祝辞の時にも大泣きしている(会場を出るにも嫌がるので、仕方なく会場内にいました)と、「集中できる状態ではないので、静かにしてもらえますか」と言われました。 会場から出るのを嫌がるハルを会場から連れ出すと、張り詰めていた糸が切れてしまったように涙があふれてきて、お手洗いに逃げ込み泣いてしまいました。
私もハルも気持ちが落ち着いた後、会場に戻り、ハルは落ち着きはないものの、なんとか乗り切れました。

 地獄の披露宴

f:id:harukunmama:20160707115719p:plain

従妹の結婚式に招待され、長男にリングボーイをやって欲しいと言ってくれたので、楽しみにしていたのですが、新郎側の主賓の一言で、ある意味忘れられない結婚式になった。
ハルを結婚式に連れていくのには迷いがあった。ハルは、4歳だけど言葉が出ていない知的障がいを伴う自閉症児。初めての場所も苦手だし、じっとしているのも苦手。結婚式はハルにとって悪い条件が揃っている場所。でも預ける人もいなかったので、不安を抱きながらも連れて行った。
挙式の時も泣きだしたらすぐに出ることができるように、係りの方に声を掛けていたが、泣くことはなくおとなしくしてくれていたので、一安心。
長男もリングボーイの役目を立派にこなしてくれ、一安心。このまま楽しい思い出だけの結婚式になって・・・と思っていた。
でも、披露宴は・・・かなりぐずり出した。
披露宴の会場から連れ出そうとしても出ようとしない。(まるで誘拐犯みたいでした)しかたなく、会場にいて、ハルの気を引くように絵本を見せたり、おもちゃを渡したりしていました。こんなことをしていたので、正直、従妹のドレス姿がキレイだった以外は、披露宴の内容なんて頭には残っていない。
 ただ1つ覚えているのは、新郎側の主賓の挨拶。
新郎側の主賓のスピーチが始まった時は、おとなしく料理を食べていたハル。私もスピーチに耳を傾けていたが、「面白くない話をする人だな・・・」と思っていた矢先、ハルがぐずりだした。何がきっかけだったのかは忘れてしまったが、大きな声で泣き出した。大学教授の話も聞こえないくらいくらいの大きな声で。
泣き止まそうとしたが、どうしても泣き止んでくれない。抱っこして連れ出そうとしても暴れる。心の中で、すみませんと繰り返すだけしかできなかった。そうすると、大学教授は、あまりにもうるさい状況に痺れを切らしたのか

集中できる状況ではないので、静かにしてもらえますか

と言いはなった。
 本人は本気で言ったのかは知らないが、私には本気に聞こえた。
「挨拶してるんだから黙らせろ」と。
私の張り詰めていた糸がプツリと切れ、その場にはいられなくなった。
暴れるハルをラグビーボールのように無理やり抱えるようにして会場を出て、お手洗いに行き、泣いた。ハルも大泣きしている。
ハルちゃん、お願いやから泣き止んで・・・お願い・・・
と私も声をあげて泣いた。
ハルの発達の遅れに気づき、自閉症と診断され、とにかくいろんなことが不安で、でも前を向いて歩いて行かないと、どうにもならない。
毎日泣きたい気持ちを抑えて過ごしてきた。そんな中でのあの大学教授の言葉は、私を傷つけるのに十分すぎた。

ある主賓の神対応スピーチ 

f:id:harukunmama:20160707115835p:plain

確かに、ハルの泣き声がうるさかった。でも、子どもが泣いていても、みんなを惹きつけるくらいのスピーチをしたらよいのではないか?それができないからって、泣いている子どもに対して「静かにしてください」はないだろ。
というか、会場内が笑いに包まれるような話をしてくれたら、ハルの泣き声なんて目立たない。
というのは、子どもを持つ者の言い分で、挨拶をしている人やそれを聞いている人には全く関係ない。いや、でもこんな人もいる。
友人の結婚式に招待された時、主賓の挨拶の時に新婦の姪っ子ちゃん(お姉さんの子)が泣き出したのです。
その時スピーチされていた新婦側の会社の上司は

僕の話がつまんないから泣き出しちゃいましたね

と笑いを会場の笑いを誘った。
そして、
「ちゃんとした挨拶を考えてきたのですが、やめます。」
と言い出し、会場内もザワザワ。新婦のお姉さん(泣いている女の子のお母さん)も気まずい表情でお子さんを連れて席を立とうとしていた。

せっかくの披露宴なんやから出ていかないで、きれいな新婦さんを見てあげて。僕がちょっと大きな声で喋ったらいいことやから

と素敵な言葉。

子どもって、泣くのが仕事なんですよね。
大きな声で泣いているのは元気の証。
〇〇さんもあんな元気な赤ちゃんを産んでくださいね。
そして、育休から戻ってきた時は、また一緒に働きましょう。
〇〇さんがいないのは痛手ですが、『早く戻ってこい』なんて言いません。お子さんとの大切な時間を過ごしてください。

とアドリブで妊娠中の新婦へのメッセージに変更。
この神対応に、会場内からは大きな拍手が。新婦も新婦のお姉さんも涙を浮かべていた。そして私も感動して涙が止まらなかった。

受け止めてくれたのは療育園の先生

普段からあまり他人に弱音を吐かない私。周りからしたら、何でも余裕でこなしているように見えていたかもしれない。でも、心の中ではいろんなことをギリギリで堪えている状態だった。もっと上手に周りの人に話すことができていたら、いろんな辛い思いをし続けることはなかったのかもしれない。そんな私も、今回の出来事は心の中では留めていることができず、療育園のノート(ハルの家での様子や療育園での様子を書いているのノート)に書いた。
結婚式の次の日、私は療育園の保護者会の集まりで療育園に行った。保護者会の集まりの中でも、「昨日、こんなことがあってね~」というのは話さなかった。
保護者会の集まりの途中でハルの担任の保育士さんに声を掛けてもらった。

お母さん、大丈夫ですか?昨日のノートに書いていた話、また聞かせてください

ハルが通っていた療育園は、子どもを見てくれるだけではなく、保護者の気持ちに寄り添ってくれる。

お母さん、辛かったね

先生も泣きそうになりながら、話を聞いてくれた。私は、療育園のノートに書くだけで少し気持ちが落ち着いていたのだが、先生に聞いてもらうことでさらに気持ちを整理することができた。
子育ては、楽しいこともあるが、やはり辛いこと、悲しいこともある。これは、健常児、障がい児関係ありません。

自分の悩みなんて、周りに比べたら大したことがないから、弱音を吐いてはいけない。なんて思わないで、自分の中で辛かったら、吐き出せばいい。泣きたかったら泣けばいい。そうじゃないと、子育てはしんどすぎる。まだまだ、半人前のママはそう思う。